私が今想うこと(前編)
突然ですが2024年2月末をもって
代表取締役社長を退任します。
今回はこれまでの約11年間を振り返り
想ったことをそのまま書こうと思います。
理由としては、
私のこれまでの経験を通じて、
これから起業することを考えている人や
今事業を営んでいて悩んでいる人に
少しでも私の経験が役に立てばという
思いがあるからです。
まず私が代表としてのスタートをきる
きっかけになったのは、
この会社(株式会社AtHumanVision)を
発起人として実質創業した松野巧さんです。
正直この時は
全く会社の社長になるなどとは
思ってもみませんでしたし、
最初に声をかけられた時は
真っ先に断る返事をしました。
理由としては、
松野さんとの考え方の違いや、
自分は代表より
2番手や3番手のほうが向いており
力を発揮できるのでは
と考えていたからです。
しかし今思えば、
単純に責任を取るのが怖かったり
会社を運営する自信が無かったんだと
思います。
いろいろな話し合いの結果、
結局は私が代表取締役の任を
受けることになりましたが、
その時の心境はなんと
「なんか流れでなってしまったな」
という感覚が強かったです。
そして社長という立場で
人生で初めて仕事をすることになります。
そこでも正直なところ、
「週5,6で現場に出て」
「現場終わりに社内ミーティングや
飲みにケーションを行い」
「残りの日で仕事を取りに行く
営業や人材スカウトに行ったり」
「事務処理に追われたり」と
何でも屋をこなしていました。
その時に感じていたのは、
現場社員の給料や
インセンティブを優先するために
自分の給料(役員報酬)は
みんなより少なくて生活のための
お金が回らないなぁとか、
個人のお金も回らないけど
法人のお金も回らないなぁとか、
社員の給料が払えないし
個人の生活費も足りないから、
実家からお金を工面したり
嫁のおじいちゃんが積み立ててくれていた
学資保険を取り崩してもらったり
支払いを少し遅らせてもらったりと、
いろいろとしたことを
今でも鮮明に覚えています。
それともう一つ、
法人の口座にクライアント先から
期日までにお金が入金されるのか不安で、
月末は毎月寝られずに朝一になると
銀行のATM前に並んでは
何度も通帳を記帳して、
お金が全額入金されるのを
銀行の当日入金可能な15時まで
待ちながら入金金額に合わせて
支払いを対応することの繰り返しでした。
(ネットバンクに金額が反映するのが当時は遅かったり、振込手数料が高かったりしたのもあって・・・)
ありがたいことに今まで生きてきて
過度にお金に困ったり
お金に執着したり
お金のことを考えることが
比較的少なかった自分の性格からすると、
これはとてもしんどく苦痛な作業でした。
ただそこで学んだのは、
社員でとしか働いたことがない私からすると、
どこかお金は天から企業に降ってきて
そこから自動的に給料が支払われるような
感覚で仕事をしていたことから、
お金を稼ぐ大切さと、
会社にお金が入って
従業員に給料が振り込まれる
リアルな流れや、
お金の流れを途絶えさせると
企業が死んでしまうという
リアルな現実を知りました。
(すべて当たり前のことですが、意外と腹落ちして理解している人は少ないのではないかと思いわれます)
それはとても大きな経験と学びですし、
私にとって最も大きな財産(気づき)です。
お金に関しては私の持論ですが、
代表者や役員など周辺の
個人の資本があって出せる、
または企業として出資してもらえる力が
ないのであれば、経営者はリスクを負い
お金を公の機関(銀行や公庫など)から
早期に借りるための知識を持ち
行動をとらなくてはいけないと
強く感じました。
なぜかといえば、私は会社創業時
お金を銀行などから借りることに
とてもネガティブでした。
それは冒頭で書いた通りで
「覚悟」が全くなかったからだと思います。
結果的には5年間ほどは借入なしで
個人のお財布からの立替などで
対応ができてしまいましたし、
借入をしたときは
会社にも最低限のお金がある状態でしたが、
その分、社員に必要以上に
お金の制限をかけて新しいアイディアや
発想の目をつぶしてきたと
大きく反省しています。
その弊害として、
会社に何かを提案しても
どうせ通らないから
言われた範囲で仕事をしようとか、
不満を持ってしまう社員を生む
大きな要因になりました。
創業当初はいろいろと足りない
(主には人・もの・金)から
仕方がないと切り捨ててしまうと、
そのまま企業の文化として根付いて
いずれ経営を担う人に
大きなしっぺ返しとして返ってきます。
さらにいえば、
常にお金に追われる精神状態の中で
経営者自身も心に余裕を持つことができず、
感情的な言葉を発する
判断をしてしまうケースが増えるので、
問題が起きる主因になります。
(ここは経験者の度量によるところが大きいですが、人間完ぺきな生き物ではないためセルフコントロールするのはかなり難しいと思います)
反省の中でも、
お金を切り詰めてきたことで
良い気づきもいくつかありました。
それは接待交際費などの経費は
全員が集まる公の飲み会など以外には
あまり使わないほうが
強い会社になるのではないかということです。
これは個人的な意見で
賛否両論があると思いますが、
私の経験則から、
接待経費を過度に使って得た仕事に
本当の価値や継続性はないと感じています。
また社内の少数の飲み会や
管理職のクライアント先との飲み会の経費を
少人数で使う際も、人は欲深いもので
お酒が入ると自制を利かせるのが難しいため、
会社のために必要な経費か
判断するのが難しく、
お酒が絡んだ様々なトラブルも
多々起きるため、
外食飲食(特にお酒あり)の
経費を認めるのは
社員からの不満を軽減するための
対応策であって、
企業と個人の成長のためには
ベストではないと思っています。
その経費は何らかの形で社内分配して
給与レンジUPや賞与レンジUPの
原資にしたり、
もっと密なコミュニケーションを
図るためにフェアーにお金を使うのは
有効だと考えます。
(例えば部活動やサークル、実家の両親とのコミュニケーションなどなど)
次に、お金の支払いを
先延ばしにしない癖がついたことです。
これも賛否両論あると思いますが、
まずは支払いサイクルの長い仕事は
なるべく受けないように徹底する
ということです。
(基本的には30日以内の入金サイクルの仕事のみをうけるスタンス)
そうなると2次受けや
3次受けの仕事をしていては
成立しないため、
元受けの仕事に近づくように仕事をする
圧力は自動的に出てきます。
さらには支払いもクレジットカードや
売掛でサイクルを伸ばすのではなく、
手元にあるお金と
入金される予定のお金を加味して
なるべく早い段階で
支払う癖を付けることで、
手元にあるお金(その時の身の丈)の
範囲で事業活動を行う癖がついたので、
お金がショート(手元にある資金が
なくなり支払いができなくなること)する
リスクの軽減に大いに役立ったと思います。
まだ出せばいくつかありますが、
主に上記の2点が大きなメリットでした。
(後編へ続きます)